国境を越えて助け合う社会を 第14回日本語交流プログラムレポート
8面記事記念写真撮影に臨む生徒たち
日本語での交流を通じて育む”思いやり“の心
多様な教科・行事に手を取り合って挑戦
公益財団法人博報堂教育財団が「第15回日本語交流プログラム」の日本参加校を募集している。本プログラムは、日本と海外の生徒同士が日本語を通じて交流し、互いへの理解を深めるというもの。5月に行われた第14回の取り組みでは、国内の2校と海外11カ国の生徒が計8日間にわたって交流し、日本の文化や授業を体験した。本稿では、貴重な体験を経てさまざまな成長を見せた日本および海外の生徒たちの様子を伝える。
親密な交流が生む相互理解と成長
「日本語交流プログラム」は、日本語を大切にしながら異文化体験や国際交流をすることを通じて、海外の生徒と日本の生徒が互いの理解を深め、「文化の異なる人と、社会的課題に向かってともに行動できる人」への成長のきっかけとなる場の提供を目指すもの。海外の中等教育機関(日本の中学校に相当)で日本語を学ぶ生徒を日本に招待し、日本校への訪問や同世代の生徒との交流、日本の文化・社会体験などを行う。
本プログラムは(1)海外教師日本研修と(2)日本語交流プログラム(生徒参加)の2つに分かれ、(1)で海外校教師が体験した内容を(2)で海外校生徒が実際に体験する。本プログラムが参加者に「日本語での交流」を課している背景には、日本の中学生にイニシアチブをとって海外校とのコミュニケーションを促進してもらい、自己肯定感や探究のマインドを育んでほしいという思いがある。
過去には台湾、インド、オーストラリア、ブラジルなどさまざまな国が参加し、日本からは公私立の中学校が海外からの生徒と教師を受け入れている。
レクを通して一気に仲良く
合同合宿
5月11日、日本校と海外校生徒の交流2日目となる合同合宿は、国立オリンピック記念青少年総合センターにて行われた。この日の午後、お茶の水女子大学附属中学校の生徒は屋内ホール、川崎市立川崎高等学校附属中学校の生徒は中庭で、レクリエーションを通して海外校生徒と親睦を深めた。
ホールではお茶の水女子大附属中の生徒がオリジナルうちわ作りを企画。うちわの絵柄となる「書」の書き方を日本校生徒が海外校生徒に手ほどきした。日本校生徒が上手に書くコツを教えたり、「私よりうまい!」などと褒めたりする中、海外校生徒は納得のいく出来になるまで何度も練習を重ねていた。中庭では、川崎高校附属中生徒と海外校生徒が約10人ずつのチームに分かれ、同センター職員のリードの下、キャッチボールやむかで競争などのレクリエーションを楽しんだ。
その後は全員がホールで合流し、文化交流を実施。海外校生徒は出身国の伝統的な踊りなどを、日本校生徒は空手の形やダンスなどのパフォーマンスを披露し合い、大きな拍手と歓声で日程を終えた。
日本の授業を体験
学校訪問
合同合宿後、日を改めて行われた学校訪問では、海外校生徒が2グループに分かれ、お茶の水女子大附属中と川崎高校附属中を訪問。日本の授業や部活動などを体験した。訪問最終日となる3日目、川崎高校附属中では授業の他に交流とお別れ会の時間も設けられ、生徒たちは学校での最後の交流を楽しんだ。放課後の部活動体験の際には、日本校と海外校の生徒が肩を組んで練習場に向かう姿も見られ、本プログラムで国の違いをすっかり乗り越えた様子に、引率の教員たちも頬を緩ませていた。
世界では、異文化への理解が不十分なゆえに起こる不幸が後を絶たない。本プログラムのような価値ある取り組みを通じて、少しでも多くの生徒や教員にぜひ異文化交流の大切さを感じてほしい。
日本語で声を掛け合いながら交流を楽しんだ
第15回 日本参加校募集!
国内・海外の中学生世代が日本語を通じた異文化体験や国際交流により、お互いの文化理解を深め、国際人として成長する機会の提供を目的とした事業です。下記の日程で、日本からの参加校を募集中です。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.hakuhodofoundation.or.jp/globalnetwork/
第15回 日本語交流プログラム
・実施期間=2024年11月~2025年5月(予定)
・主な交流内容=海外教師・生徒の日本校訪問、合同合宿、ホームステイなど
・募集日本校数=中学校1~2校程度を採択
・参加者規模
日本校=日本校訪問時(学校・学年単位など学校判断)、合同合宿、ホームステイなど(1校あたり20名規模)
海外校=世界10カ国の国・地域より1校あたり生徒4名と教師1名が来日 ※オンライン交流は学校間で調整
・助成内容
プログラム活動費(交通費/宿泊費/食費/施設利用費/保険加入費など)
オンライン交流活動推進費(1年コース=100万円) ※詳細はホームページ参照
・エントリーシート受付期間=2024年5月13日~6月28日
・応募申請書受付期間=2024年5月13日~7月26日
プログラム年間スケジュール
2024年5月 募集開始(5月13日)~募集締め切り(7月26日)
10月上旬 日本参加校の決定通知
11月 海外教師日本研修(11月11日~11月29日)(予定)※教師のための事前研修
2025年5月 日本校と海外校の交流プログラム(5月14日~5月27日)(予定)
公益財団法人 博報堂教育財団
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