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ICTに負けてたまるか!人間教師としてのプライド ゆるぎなき“信念”宿る教育観の源泉ここに!

16面記事

書評

野口 芳宏+各界識者9人 著
一線の教育者らと響き合う教育・教師論

 月刊「総合教育技術」時代、長期連載した「本音・実感の教育不易論」の「150余編」から選んだ9編それぞれに「第一線で活躍中の研究者、実践家の辛口コメント」を付して、本書は構成する。学習指導要領や「子供中心主義」の教育の在り方、指導も成果も生まない「授業」などを「教育論」、教師の主体性、教えることや叱ることを「ためらわない」「観」を磨くことを『教師の資質・能力』論、これに「人生論」を加えて分類し、収めた。
 「根本、本質、原点」に立ち返る著者が抱く教師のあるべき姿、信念が立ちのぼる。
 例えば学習指導要領。賞味期限はわずか10年。現場が振り回されるのは「枝葉の流行」部分だが、「不変・不動の基礎・基本」の大部分は重視されているかと問う。
 コメントする識者も負けていない。歴史学者の立場から「基礎・基本は不変」というのは「あまりにシンプル」。教科書も学習指導要領もあまり当てにはできず、歴史学に誤りがあれば「子供と一緒に糺していく責務が教師にはある」と切り返す。
 過去の連載の厳選、書籍化であれば、単なる名コラムの復刻版である。だが、編集者による企画の妙を得て、著者の「本音、実感、我がハート」が一家言ある教育者たちの見識と時に響き合い、時に厳しい言葉を受け、現代に輝きを増す。読者にとっては面白くてためになる本へと見事に”味変”した。
(2420円 学芸みらい社)
(矢)

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