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部活動は日本の強み クラブ自治の継承と発展

16面記事

書評

神谷 拓 編著
子ども主体の在り方提言

 部活の地域移行が提唱されてから時間が経過したが、進捗状況は思わしくないようだ。そもそも日本における学校部活動は一つの教育文化であるため、改革にはかなりの困難を伴う。かつてはテレビドラマに見られたように、生活指導、健全育成の一環としての部活動があった。部活動顧問がやりたくて教師になった者も少なからずいた。一方時代は変わり、体罰など行き過ぎた指導が問題になり、そこに働き方改革も加わり、部活動はすっかり悪者となった。しかしOECDの報告書では部活動などを含めた課外活動を「日本の強み」としている。
 本書では、そのような部活動を別の視点から捉える。具体的には「子ども自身が文化、生活、集団に働きかける場」として、子どもの自治活動としての部活動の在り方を模索するものである。そのための手法を紹介している。
 最初の手法が「クラブ・インテリジェンス・ワークシート」で、部活動で生じる課題を整理し、組織運営を可視化するものだ。その他、「富士山マンダラート」や「部員勧誘ブランディング」などユニークなワークシートを紹介している。また部活動における権利やお金の流れの可視化、保健体育との関連にも触れている。クラブという語の本来の意味である「自治・社交」を継承・発展させる実践として、部活動の今後の方向性を示した一冊だ。
(1980円 大修館書店)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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