一刀両断 実践者の視点から【第527回】
NEWS道徳と男女交際
《女子大学生を殺害後…盗んだパソコン売った金でタクシーに乗り逃走か 容疑者の男は盗んだスマホで知人に連絡も》(MBSニュース)という見出しの記事からは、容疑者の身勝手極まりない思考性を感じる。
こうした事件が頻繁に起きているように感じられる。被害者はまさか殺害されるとは交際当初は考えてもいなかっただろう。これからという未来を断たれた娘の親の無念さは計り知れない。
注視したいのは交際という関係がどのようにして始まり、理解していたかにある。恋愛や交際の中で理想とは異なる現実が出始めると嫌悪感から別れようとする。そうさせたくない、所有物と勘違いして腕力で言うことを聞かせる。心が離れるとさらにそうさせまいと強引な行動になる。
獲得した獲物が逃げるのを認められないような幼稚さが浮かんでくる。
交際や恋愛という思春期での心理やマナーは学校では教えてはいない。ならば家庭ではとなると、それも無い。
よってテレビやアニメや周りの様子からイメージして交際を始めているのが実際では無いだろうか。
私は自分の経験から恋愛や交際をしっかり学び誠実な関係を維持する必要を感じる為に大学講義や中学生の道徳授業でコマを設けている。
こうした事件が繰り返されない為にも道徳の時間の中に組み入れてはどうだろうかと提案したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)