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一刀両断 実践者の視点から【第526回】

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教師とギャンブル

 《「児童には申し訳ないしかない」教諭が…深夜の小学校に忍び込み、同僚の机の引き出しから現金2500円盗む 懲戒免職処分 ギャンブルなどで金の工面に困り計画か》(TBS NEWS DIG)という見出しの記事。実に情けない犯行ではある。
 この程度の金額ならば隠し通せると考えたのかも知れない。気になるのはこうした犯行をなぜ防げないかである。
 個人のプライバシーが優先されて、ギャンブルに手を出していることなどを把握する術がない。
 はるか昔のことである。先輩教師がマージャンに誘ってくれた。行くと恩師もいたのには驚いた。
 耳に千円札を挟み、座布団の下にお札を貯めていた。今で言う賭けマージャンであった。テンピンとか言っていた。
 やがて皆校長となり定年を迎えたが、あの光景は忘れられない。たいした給与もなく、仲間同士でわずかなお金を取り合わなくともいいものを、いい気持ちはしないのではないかと思っていた。
 このように昔は個々人の私生活がかなり見えていたし話題になっていた。しかし、プライバシー保護の風潮が強くなり、帰宅後の生活などを聴こうとすると、越権行為として追及されてしまう。
 そうなるとギャンブルとのかかわりも把握できない。未然に把握して指導することは不可能になっているのだから、こうした事件に至るのも分かる。
 それで学校組織としての信頼を維持する事は困難ではないだろうか。改善の手立てを示すべきではないだろうか。失うものが大きすぎる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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