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対話と協力を生み出す協同学習 一人ひとりをケアする授業づくり

18面記事

書評

佐藤 曉 著
「心の動き」見取れる教師に

 協同的な学びによる授業づくりを取り上げた一冊ではあるが、著者が述べるように「もっとも強調したかったのは、ていねいな子どもの見取りに基づく授業づくり」である。例えば、子どもたちが学ぶ姿を「机間巡視」する際、「できる―できない」を見るのではなく「心の動き」を見てほしいと著者はいう。個人学習、班活動時に学習課題をどう受け止めているか、することは分かっているか、立ち止まっているのか、聞いているだけか、理解もせず書けるところだけ書いているのか。「ていねいな子どもの見取りに基づく授業」には、こうした教師の気付きが欠かせない。
 学校を忌避する子どもたちを前に「学校を楽しく、授業を楽しく」(序章)と願い、長期間取り組んで成果があった「協同学習(学びの共同体)」に活路を見いだす。小学校の授業づくりとして「協同学習の授業をデザインしてみる」(第1章)、生徒の学びと心の揺れが見える7事例を集めた「中学校の授業づくり」(第2章)、生徒らに寄り添う手法を論じた「協同学習とケアの技術カタログ」(第3章)、研究授業の在り方を含めた「学校づくりのヒント」(第4章)で構成。付録として保護者向けに発信した「ケアのマインド」を収めた。
 『発達障害のある子の困り感に寄り添う支援』などの著書を持つ、著者の特別支援教育へのまなざしと、協同学習に取り組んだ中学校の18年余りの実践成果が融合し、協同学習の在り方に新たな光を照射する。
(2200円 創元社)
(矢)

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