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一刀両断 実践者の視点から【第520回】

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論説・コラム

就職のルール

 《来春卒大学生の採用面接解禁 既に内定率78%、進む形骸化》(共同通信社)という見出しの記事から、教員試験の前倒しや工夫に効果はあるのだろうかと虚しさを感じた。実質的なルールに縛りがないのである。
 政府はルールを守ってもらえるように企業に働きかけていくとしている。結局は守れないだろうけど、一応は伝えるという事になる。
 このように無法地帯にされている事に関係者は認識を新たにしなければ、いくら工夫して改善しても当の学生はより条件のいい企業へと意識は動くのが当たり前である。
 政府の存在感のなさや頼りなさが、この一件からも見えてしまう。先に希望を持たせるにはどうすればよいのだろうか。人間の基盤をしっかりと作る以外に解決策は見えない。
 こうした現実が起きているのに制御できない本質的な要因を、高校生くらいの時に論議して一人一人の意識と行動の中に改善の炎を絶やさない学びを位置付けていくべきではないだろうか。
 社会課題を利用して私利を得ている輩を炙り出し、改善改革の流れは若い高校生レベルから始める必要がある。教科書から現代課題解決に行動させるような授業をできるのは教師だけである。私たちは未来を作っているからである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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