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子どもを「その他大勢」にしない学級づくり

14面記事

書評

川端 裕介 著
一人一人が輝く 教師の関わり方

 リーダーシップを発揮できる生徒や目の離せない生徒のはざまで、あまり手の掛からない生徒は「その他大勢」として心情理解を深める機会が十分ではなくなりがちになる。
 なぜ「その他大勢」の子どもが生まれてしまうのかを分析し、著者自身が「正解はない」と試行錯誤を続けた子どもを「その他大勢」にしないための「教師のかかわり」や「学級づくり」をそれぞれ10のポイントで示す。
 さらに学期別の学級づくり、学級活動、授業づくり、その他の活動・行事の他、学級内での対立や逸脱など「場面別の指導」を設定し、計31事例について「NG」指導と「OK」指導をそれぞれ提示、解説していく。
 例えば、学級活動の「朝の会・帰りの会」。教師が用意した活動にこだわり、本来主役となるはずの生徒の「失敗」を助長し、生徒が早く終わってと念じる場にしないよう、子どもとの関係性や学級の成長に応じ内容を変えていく柔軟な姿勢の必要性をアドバイスする。
 著者が共有したいビジョンとして示すのは「温泉のような学級」。受け手によって解釈に幅があり意見が言いやすいような雰囲気を醸成できるためだ。略歴に第13回プリントコミュニケーションひろば最優秀賞とあり、本書では一人一人の子どもを輝かせる上での学級通信の活用法に言及する。受賞時の学級通信名は「亀の湯」。共有したい学級の雰囲気に見事に符合している。
(2090円 明治図書出版)
(矢)

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