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学校に行けない子どもの気持ちがわかる本

14面記事

書評

今野 陽悦 著
経験者のカウンセラーが親に助言

 29万9048人。これは、昨年秋に発表された令和4年度の小・中学校における不登校児童・生徒数である。前年度から5万4千人以上増加し、過去最多となったことは、報道でも大きく取り上げられた。
 著者は、10代の頃、不登校・引きこもり状態で、親子ともども「先が見えない」「どうしようもない」「絶望的」と思わずにいられないありさまだったという。本書は、その経験を生かし、不登校・引きこもりを専門としたカウンセラーとして20年ほど活動した著者が、「お子さんの不登校に悩まれる親御さんに、本質的な解決法を知ってほしくて」執筆したもの。親として、わが子の不登校の解決の定義を明確に把握していない場合も多いという。著者が考える親の立場での解決の定義は、「自己受容を深めて子どもからの精神的な自立をすること」。第1章「あなたは悪くありません」の中でその意味を考えたい。
 不登校は、時間が解決してくれるわけではないことを大前提に示された、第4章「不登校解決までのステップ」。不登校スタート期・不登校本格期・落ち着き期・過去の清算期・回復期をステップとし、その過程における子どもの様子や親の対応がまとめられている。学校に行けない子どもたちを支える家族や関係者は、子どもの数の何倍にもなる。本書が、その解決の手掛かりの一冊になるのではないだろうか。
(1650円 WAVE出版)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室主任)

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