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学校DXと「個に応じた学習」の展開

14面記事

書評

加藤 幸次 著
子どもの未来切り開く実践的提案

 本書のねらいは、「学校DX」を機に、「個に応じた『学習』」モデルに導かれた学校教育をつくり出すことにある。著者は、半世紀にわたり、子どもたちに身に付けさせる最重要能力は「自己教育力(自ら学ぶ力)」であるとして、全国各地の小・中学校で実践を積み重ね、「個別指導システム」の開発、主体的な学習者を育てる「学習材」や「自己評価活動」等を開発し、全国の学校に多大な影響を与え続けている研究者であり、評者も教員・管理職時代を通じて、多くを学び、注目し続けてきている。本書は、これまでに開発し、実践を通してその有効性を世に問うてきた数々の成果を、GIGAスクール構想の実現で見えてきた「学校DX」の豊かな可能性によって、さらにパワーアップさせようとする革新的で、貪欲な研究者・実践家としての並々ならぬ気概にあふれている。子どもたちの豊かな未来を切り開く、実践的で魅力的な提案が六つの章にちりばめられており、引きずり込まれるように一気に読了することができた。
 評者が特に感銘を受けたのは、「個に応じた指導」を、「学校DX」がもたらすさまざまな最先端技術等を利活用し、「個に応じた学習」モデルを開発し、「学習の個性化」を、全ての子どもたちのために実現しようとする、教育者としての矜恃である。著者のこうした姿勢は教育関係者に多くのことを学ばせるものと期待する。
(2750円 黎明書房)
(新藤 久典・元国立音楽大学教授)

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