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生徒指導の聴き取り方 場面設定から質問技法まで

14面記事

書評

片山 紀子 編著
聴取後の望ましい報告にも言及

 近年、問題視されている「不適切な指導」を予防し、複数の児童・生徒が関わる「いじめ」問題に対処するためにも、「聴き取り」の在り方はより重要になっている。
 本書では「子どもを守る」「指導する」「評価する」習性がある教員にとって、事実確認を淡々と行うことが求められる「聴き取り」は「習性に反する」と指摘する。また、それぞれから聴き取った結果、黒白の付かない「グレーゾーン」の存在にも触れるが、これなども教員の世界では戸惑うのではないだろうか。
 子ども同士のトラブルが発生した際に即時対応が必要なケース、いじめについての相談、訴えから生徒指導が必要になるケースなど、具体例を取り入れながら、「聴き取り前の準備」から、子どもから事実を引き出す質問法など「話の聴き方」、5W1Hを意識した「聴き取りの流れ」や「聴き取りの実際」などを解説した。「聴き取り」後の記録の仕方、「聴き取り」結果を聞く生徒指導主事や学年主任、管理職、保護者それぞれの立場から望ましい報告の在り方を語ってもらい「聴き取りだけでは終わらない聴き取り」についての注意を喚起。弁護士、家裁調査官、スクールカウンセラー、養護教諭ら専門職の「聴き取り方」まで、全10章で構成している。
 「聴き取りと指導がごちゃまぜ」など「聴き方の失敗例から考える」章なども、自らの「聴き取り」を見詰め直すのに役立つのではないか。
(2200円 学事出版)
(矢)

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