「縦と横」で考えるカリキュラム・デザイン
14面記事田村 学 編著
六つの実践中心に「深い学び」へ道筋示す
「主体的・対話的で深い学び」を実現するためのアクティブ・ラーニングの視点による「授業改革」の浸透度に比べ、十分とは言えない「カリキュラム・マネジメント」の取り組み度。カリキュラム・マネジメントの構成要素のうち「内容の組織的配列」である「カリキュラム・デザイン」を最重視して、その実現への道筋を示したのが本書の特色である。
カリキュラム・デザインの「縦」とは、「資質・能力」の三本柱から、それぞれの学校が掲げる「教育目標」、短期目標とする「育てたい子どもの姿」、単位時間の授業で付けたい資質・能力へと縦串に落とし込むこと。「横」とは、カリキュラム・デザインの3階層「グランド・デザイン」「単元配列表」「単元」のうち、単元配列表を基に総合的な学習の時間や他の教科などとの間で、より資質・能力の「活用・発揮」につなげるため「重点単元」「関連単元」を設定して授業を進める横展開を指す。
「総合的な学習」を中核にしたカリキュラム・デザインの「縦」と「横」の計六つの実践が本書の中心にはある。「総合的な学習」と教科の学びが相乗効果を上げる実践や、「学びに向かう力」の育成など非認知系の資質・能力に焦点を当てた実践もある。
こうした試みに出合うことで、校内研修の可能性や年間の学習内容を見通す意義、単元配列表を子どもと共有することで「学びの地図」として有用なことなどにも、気付く契機となるのではないか。
(2200円 文溪堂)
(矢)