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研究主任のマインドセット

14面記事

書評

古舘 良純 著
研究活動の推進術をカテゴリー別に

 新年度がスタートした。学校全体が、一年のうちで、最も活気あふれる時期である。各教員も新たな分掌の下、意欲的、計画的に職務に励もうとする。だが、新たな職務の中で、誰よりも悩みを抱えてしまうのが研究主任ではないだろうか。教務や生活指導の主任等は、前年度の資料から計画を立て、現存の組織を活用することができる。半面、研究主任は、新たな研究課題、新たな組織の下、一からつくり上げていくことが多いからだ。
 本書は、初めて研究主任を任された著者が、何のために校内研を進めていくのかという原点に立ち返って考え、「研究活動の心構え」をまとめたものである。校内研究会、授業研究会、授業交流会、自主研修会、研究主題、研究通信という六つのカテゴリーで構成されており、著者がその都度悩み苦しみ、実践した内容が具体的に書かれている。
 特に、第1章「『校内研究会』のマインドセット」の中の「研究主題を『自分ごと』にしていく」方法として、副主題の主語は教師自身にするという考えや、第2章「『授業研究会』のマインドセット」の中の「先生方の当事者意識を高める」方策として、学習指導案は授業が終了するまで配布しないという手だては新鮮である。また、添付されている手書きの授業参観シートや研究通信は大いに参考になる。悩みを抱える研究主任に勇気を与える一冊である。
(2156円 明治図書出版)
(小山 勉・東京未来大学特任教授)

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