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国の施策として熱中症対策を強化 「気候変動適応法の改正」を4月から全面施行

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熱中症予防を呼びかける「政府による統一ポスター」

より積極的な熱中症対策が必要

 政府は、近年になって熱中症による死亡者数が千人を超える年が頻発していることから、昨年5月に「気候変動適応法の改正」を閣議決定し、今年の4月1日から全面施行した。今後、地球温暖化が進めば、極端な高温の発生リスクも増加すると見込まれる中、より積極的な熱中症対策を進める必要があるからだ。
 改正のポイントは、次の通り。

 (1)従来の熱中症対策行動計画を「熱中症対策実行計画」として法定の閣議決定計画の格上げ。
 (2)熱中症アラートを熱中症警戒情報として法に位置付け、さらにより深刻な健康被害が発生し得る場合に備え、熱中症特別警戒情報を創設。
 (3)市町村長が冷房施設を有する等の要件を満たす施設を指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)として指定。
 (4)市町村長が熱中症対策の普及啓発等に取り組む民間団体等を熱中症対策普及団体として指定。

熱中症死亡者数を半減に

 具体的な施策となる(1)「熱中症対策実行計画」では、2030年を中期目標に、熱中症による死亡者数を半減することを目指す。そのため、国は、集中的かつ計画的な熱中症対策の推進、関係府省庁間及び地方公共団体等との連携強化、熱中症と予防行動に関する理解の醸成、地方公共団体は、庁内体制を整備しつつ、主体的な熱中症対策を推進、事業者は、消費者等の熱中症予防につながる事業活動の実施、労働者の熱中症対策を進めていくとしている。
 その中で、学校に対しては、危機管理マニュアル等に基づく対応の実施や、教室等へのエアコン設置支援を強化すること。加えて、エアコンが未設置の学校等の避難所における迅速なエアコンや非常用電源の供給支援を推進することが求められている。

国民への発信を強化

 すでに政府は全面施行に先駆け、関係府省庁の連携強化のもと、昨年の5~9月間に「熱中症予防強化キャンペーン」を実施。そこでは政府一体となった国民への発信強化、産業界との連携、熱中症警戒アラートを活用した熱中症予防行動の周知浸透を図る取り組みが行われた。例えば、国民に向けたエアコンの早期点検や積極的な活用の呼びかけ、熱中症による救急搬送人員の公表などは、誰もがニュースなどで何度も見聞きした記憶があるだろう。また、教委・学校現場に向けても、文科省が「気候変動適応法の改正」の周知とともに、熱中症対策を一層強化するよう、昨年6月末に改めて通知を出している。

部局が連携し、迅速な対策を図る

 各地域が気候条件に応じて迅速かつ適切に熱中症対策を実行するためには、地方公共団体内の多くの部局が連携して対策を進めていくことが重要なポイントになる。鳥取県鳥取市は、庁内掲示板で熱中症警戒アラートの発表情報等を各部署に通知。これを受け、各部署より関係機関、関係施設及び住民に対し、熱中症予防についての注意喚起を行っている。また、庁内熱中症対策会議を4月に開催し、年度中に各課が計画している熱中症対策等の情報共有や、公共施設をはじめとする市内クールシェルターの拡大を促進している。
 岐阜県多治見市は、2021年度に産業観光課、環境課、保健センター等といった関係部局と、多治見まちづくり株式会社による多治見市中心市街地活性化協議会傘下の熱中症対策部会を立ち上げ、事業計画の策定及び予算化を実施している。大阪府吹田市は、環境政策室が中心となり、熱中症発症者が多い「高齢者」「教育機関」「運動施設」の各関係主体が参画した、3つのプラットフォームで熱中症対策を推進している。

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