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校長のリーダーシップ 日本の実態と課題

19面記事

書評

浜田 博文・諏訪 英広 編著
制度・組織的条件の在り方を検討

 教育界では固有名詞で書籍が売れるような校長や教育者が常に輩出され、現場にもそうした強いリーダーシップを発揮するカリスマ待望論は根強いが、校長「個人」への過度な注目や期待は課題も多い。
 本書は、校長(個人)の資質・力量、リーダーシップスタイルに注目してその専門性を最大限にまで高めようとする「個人アプローチ」ではなく、校長職を取り巻く制度的(資格・養成・選考、職務権限等)・組織的(校内意思決定システム、外部団体等)条件を整備する「システムアプローチ」の視座に立ち、その実態と課題をつまびらかにしようとする。
 科研費によって第一線のメンバーをそろえて調査をデザインし、全国2400校の管理職やミドルを対象とした大規模な量的調査と、校長を支える条件・環境としての県校長会の

 (1)研究・研修機能
 (2)情報提供機能
 (3)助言・相談機能

 ―について関係者(退職校長)にインタビューし、初任期の校長に対しては任用前後のイメージの変化(リアリティショック)を語ってもらうなどの質的調査を行っている。
 リーダーシップ発揮に対する校長自身の評価が先行調査より下がっていること、校長は支援要因として教育行政指針を求め、学問的交流や情報メディアに期待していないこと等、ビッグデータが示す結果をどう分析するかは読者にも解釈の余地があり、一読を勧めたい。
(3300円 学文社)
(元兼 正浩・九州大学大学院教授)

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