高校国語<比べ読みの力>を育む実践アイデア
14面記事幸田 国広 編著
「深い学び」実現に10の指導事例
「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業改善が求められる中で、その手だての一つである「比べ読み」に焦点を当てた。小・中学校よりも十分な蓄積がないといわれる高校での「比べ読み」を、必履修科目「現代の国語」「言語文化」、選択科目「論理国語」「文学国語」「古典探究」で計10事例提示した。
それぞれの実践について、ねらい、意義、使用教材などを「単元の概要」とし、同様に各時の指導と評価のポイントを「指導と評価の実際」、思考ツールを用いた実際の指導などを「ズームアップ」として掲げ、単元の指導を振り返って別のアプローチを探る「広がるアイデア」などの各項目で構成した。
「新聞投書を読み比べて自分の意見を持つ」「評論文と法令文を関連付けて解釈を深める」(現代の国語)、「同一作者の作品を読み比べて特徴と魅力を見つける」「英語俳句から五・七・五の日本語表現を吟味する」(言語文化)などの実践事例を通して執筆者たちの創意と指導に触れることができる。「ベン図」や「マトリクス・表」などの思考ツールを積極的に活用しているのも本書の特徴の一つ。
作品などを比べ相違点を見つけ理解を深めるだけでなく、比較し気付いたことに依拠しながら、自分(生徒)の考えをどこまで深めることができるか、それぞれがチャレンジした実践集は、「比べ読み」に取り組みたい教師にとって有益な”参考書”になる。
(2420円 大修館書店)
(矢)