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一刀両断 実践者の視点から【第489回】

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「学びの多様化学校」に期待したいが

 《宮崎県に初の「学びの多様化学校」、延岡市教育長「自分に合った学びで喜び感じて」》(読売新聞社)という見出しの記事に速攻の対応が感じられた。
 必要だと思っても実現まで至らない教委がほとんどではないだろうか。それをフットワーク軽く実現したのだから他の問題や課題の解決も早いと推測できる。
 ただし、教員不足の中、生徒のニーズに合わせて学ばせるのだからそこに求められる力量は柔軟かつ高くなければ意欲の継続化は期待できない。
 「個別最適化」と経産省は文科省と打ち出して来たが、学校現場を見る限り期待通りにはなっていない。
 それは紛れもなく教師の仕事量にある。教職員定数に関する標準法は現代の学校の実態とはかけ離れている。しかし、分母が大きい為に一つ変えると人件費が莫大になる。その為に新たな役職を設けても兼務としたり無給にしたりしている現実がある。
 仕事が増えたり権限が増えたらそれに見合った対価が生じるのだが、教員は変わらない。
 延岡のような体制を継続的に取るとなると教員の給与を倍にする必要がある。合わせて生徒の実態に対応出来るスキルトレーニングをしなければ、寄せ集めの教員で取り敢えずやってもここの能力を適正に引き出すとなると通常学級の担任よりも豊かな人間力と専門性を持っていることが求められる。
 この確保がないと茶番になりかねない。いずれにしても今後の奮闘に期待したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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