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「対話」で教職員の心理的安全性を高める! みんなが安心・成長できる学校のつくり方

15面記事

書評

加藤 敏行 著
関係の質向上で変わる指導、保護者対応

 市教育委員会から研究奨励校として「対話」をテーマに取り組む誘いを受け、スタートしたのが令和2年度。「主体的・対話的で深い学び」が目指す現行学習指導要領の下、児童の「対話」力の向上が研究対象としてはイメージしやすいだろうが、研究奨励校となったこの小学校の研究ベクトルはまず教職員に向いた。
 本書で言う〔本質的な「対話」とは、「自他の意見の奥にあるそれぞれの『願い』に気付き、自分の中で内省し、それを相手や周りのみんなと共有していくプロセス」〕。本音をぶつけ合い、そこから各自の考えを生かす道を探る、多忙な中、手間暇掛かる試みである。
 自己開示を忌避する教員が研修途中で退席してしまうというエピソードは、研究に取り組む道のりの困難さを象徴的に物語る。辛抱強く教職員のやる気を見守り続ける管理職、意欲のある教職員らが職場での「対話」を徐々に実現することで関係の質が向上し、教科指導や保護者対応、学校経営が変容していく様子を「なぜ学校経営に『対話』が必要なのか」「『対話』による学校づくり」「『対話』による人材育成」の3部構成で、3年間の実践と成果として世に問う価値ある一冊になった。
 小学校だけでなく、全員が共有する研究テーマを設定しにくい教科縦割りの中学校などでも、「対話」ならばテーマとして有効であり、職場の在り方を見詰める機会としてチャレンジしてみてはどうだろうか。
(2200円 教育開発研究所)
(矢)

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