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インフルエンザ対策に9月から加湿器を活用

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天井埋め込み式の加湿器

東京都立川市立若葉台小学校

 冬季の教室はエアコンの暖房により空気の乾燥が進み、さまざまな感染症へのリスクが高まることから、加湿器を使用して適切な湿度を保ち、環境衛生を維持することが重要になっている。このため、全国の新設校ではエアコンや換気システムと併せて加湿器を整備するのが標準になっており、若葉台小学校もそんな一校だ。そこで、松村利一校長に加湿器の活用状況について聞いた。

校内のほぼ全室に加湿器を整備

 同校は2018年にけやき台小と若葉小の統合により開校し、その3年後に新校舎へと移転した。明るく開放的な仕様の校舎は4階建てで、屋上にはプールも設置。地域とのつながりを意識し、貸し出しできるコミュニティールームや学童保育所も併設されている。
 このような最新の設備を誇る中で、教室を含むほぼ全室に設置されているのが、天井埋め込み式の加湿器(てんまい加湿器)だ。この加湿器は、室内の空気を吸い込み、加湿した高湿空気を直接吹き出す方式のため、空調機の冷暖運転や風量変動に左右されないのが特長。基本的にはON・OFFと強・弱のみで簡単に操作できるとともに、美観や静音性(強運転で40 dB)にも優れている。

教職員への意識付けや声掛けで感染予防

各種リモコンスイッチ(左上が加湿器)には、色分けシールを貼り意識付けも

 加湿器の運用は、教室に設置したリモコンスイッチを使い、教員が各自で操作する。ユニークなのは、教室の天井にはエアコンと換気システムも設置されているが、一見では識別しにくいことから、それぞれに色分けシールが貼られており、教員が意識して活用できるように工夫をしていることだ。加えて、「養護教諭が保健室で気温、湿度、二酸化炭素濃度を計り、換気や加湿が必要な場合は教職員に声掛けし、適切な対応が図れるようにしています」と松村校長。
 延べ床面積8千平米を超える同校は、特定建築物として空気環境を適切に管理する必要がある。したがって、日頃から教職員への意識付けも進んでおり、業者による検査やメンテナンスも随時行われているなど、室内の環境衛生の維持には気が配られている。

今年度は二学期の初めから活用

 実際の加湿器の使用については、例年は気温が低くなる11月頃から開始するが、今年度は夏季からインフルエンザが流行したため、二学期の初めから活用しているという。その上で、「市内の学校では9月過ぎから学級閉鎖が相次ぎましたが、本校はちょうど今週1クラス出た以外は起きておらず、個人的にはこうした設備のおかげもあるのではと考えています」と口にする。
 さらに、本校に赴任する以前に、こんな設備の整った学校はなかったと松村校長。「家庭用の加湿器を使っていた頃は、毎日の水の入れ替えや清掃に手間がかかって大変でした」と振り返り、今後も恵まれた設備を活かし、子どもたちの感染予防となる室内の環境衛生に努めていきたいと語った。

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