勉強ができる子は何が違うのか
16面記事榎本 博明 著
学ぶ力の心理的メカニズムを紹介
「勉強ができる」ようになるには何が必要なのか。本書では学ぶ力を「認知能力」「非認知能力」「メタ認知能力」の三つの基本要素によって捉え、それぞれの心理的メカニズムを分かりやすく紹介している。
「認知能力」を本書では「いわゆるIQで測られるような知的能力」とし、特にその基礎になる語彙力や読解力の重要性、それらを鍛える読書の意義を強調する。
同時に、それを十分発揮するには、自分の感情をコントロールする力、忍耐強く物事に取り組む力、集中力といった「非認知能力」が不可欠だと説く。
さらに、自分自身の活動を客観的に見て、うまくいっているかどうかをチェックし、必要に応じて修正するといった「メタ認知能力」が、効果的に学習するためのコツをつかむことにつながるという。このメタ認知能力が十分でないと、理解度についての本人の認識と実際の成績が乖離する「わかったつもり症候群」に陥ったりする。
「メタ認知」については、構成要素をさらに詳しく解説しており、理解の助けになるだろう。そのうち、中核になるであろう「メタ認知的モニタリング」の能力は、小学校中学年から中学校の年齢段階に伸びるそうだ。
子どもたちに学習方法の「コツ」をアドバイスする上でも役に立ちそうな本である。
(880円 筑摩書房(ちくまプリマー新書))
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)