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ICT時代の国語教育の考え方・進め方

16面記事

書評

多賀 一郎 著
本質的な授業の在り方と教師の姿勢

 昭和の教育を受けて教師となり、国立大附属小から私立小学校を経験し平成を経て、令和時代の現在、指導助言役として全国の学校に出向く著者が国語教育の現状を憂い、これからの在り方を全8章で指し示した。
 まず耳を傾けてほしいのは、「不易」に当たる国語教育の本質に連なる部分である。
 例えば「国語学習には、子どもたちの力だけでは決してたどりつけないことがある」と協働学習の限界を指摘しつつ「言葉の深い意味」「行間にこめられた物語の流れ」「一つの言葉から派生するさまざまな意味や使い方」など「国語の言葉の学びとしての本質的なもの」を学べるよう「学習を仕組んでいく」のは教師であると言い切る。
 あるいは「これから長い期間国語の学び手となっていく子どもたちに、言語感覚や言語姿勢を育てるという大切なことを忘れてはならない」とし、そのためには教師自身が言葉に敏感になり、語彙を増やす努力を求める。
 ICTを活用した授業では、教育漢字以外にも接することに触れ「情報の適切な検索方法や漢字の意味を理解する能力」を育成することに言及したのは「流行」に対応した指導の考え方、在り方を示したものだ。
 「これでどんな国語の力がつくのですか?」。本書全体から立ち上る著者のこの言葉はベテラン、若手教師といった経験値の違いを乗り越え、共有していきたい問いである。
(2200円 黎明書房)
(矢)

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