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大学教授ら給特法廃止を訴え 中教審の議論に「失望」

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 中央教育審議会の特別部会で14日から処遇改善の議論が本格的に始まったことを受け、現役教員や大学教授らでつくる「給特法のこれからを考える有志の会」が同日、記者会見を開き、改めて給特法の廃止を訴えた。勤務時間削減に必ずしも直結しないが、給特法が存続する限り仕事量の膨張に歯止めがかからないと指摘した。
 会見で岐阜県立高校教員の西村祐二さんは、教員志望者の減少などを踏まえて「教育現場が持ち直すかどうか、その最後のチャンスは給特法の結論がどう出るかだ」と訴えた。中教審の議論は、本来支払うべき残業代を支払わないと言っているようにしか聞こえなく「失望した」と話した。
 東京大学の本田由紀教授(教育社会学)は「教員は自発性や創造性を発揮しているからではなく、本務で長時間労働になっている。給特法が存続している限り教員の仕事内容や勤務時間が無限に膨れ上がる」と指摘。給特法を廃止した上で、学習指導要領の削減などを合わせて行うべきだとした。
 自治体行政学が専門の金井利之・東大教授は「給特法廃止は必要条件であり、十分条件ではない」と主張。また現在、文科省が進めている教員業務支援員などの外部人材の配置は「教員以外の人を安く長時間働かせることになるだけだ」と懸念を示した。「給特法を廃止しなければ、労働時間抑制のメカニズムが働かず、他の対策は効果がない。教員の世界の中だけの話ではなく、民間を含めて社会と連動しながら長時間・低賃金労働を変えていってほしい」と訴えた。
 元小学校教員の乙武洋匡氏は「教員の労働問題はどう解決していくのかというフェーズに来た。定額働かせ放題という給特法という仕組みを破壊しなければ、この問題の根本は解決しない」と強調した。また、教職調整額が4%から10%になっても教員の忙しさは変わらないとも話した。
 ワーク・ライフ・バランス社長の小室淑恵氏は、民間企業との人材の取り合いの中で、給特法を維持すると教員が若者から選ばれない職業になることは明らかだとした。
 嶋﨑量弁護士は、中教審は以前と同じ議論を反省なく繰り返していると指摘。なぜ労働時間を削減できなかったのか、反省した上で議論するよう求めた。

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