奈良からはじまるESD 歴史文化遺産を活用し、持続可能な社会づくりを学ぶ
17面記事奈良ならではの学びを体験
SDGs教育の最先端である奈良教育大学を中心とした産官学民のコンソーシアム「奈良新しい学び旅推進協議会」は、修学旅行生が奈良の歴史文化遺産を通してSDGsを学ぶ学習プログラム「奈良SDGs学び旅」の無料体験会を1月26日(金)に、奈良商工会議所で全国の教員を対象に開催した。
第1部では、参加者は奈良SDGs学び旅のプログラム説明を受けた後、修学旅行生へ実際に提供しているSDGs講義と東大寺のフィールドワークを体験した。
SDGs講義は奈良教育大学ESD・SDGsセンター所属の加藤久雄特任教授らが担当し、「奈良で学ぼうSDGs」と題し、歴史文化遺産から持続可能な社会づくりのヒントの見つけ方について講演が行われた。
その後、東大寺へ移動し1300年間現役の大仏さまや大仏殿・東大寺南大門を2時間のフィールドワークの中で見学し学びを深めた。
参加者同士でも、「自分の地域にある歴史文化遺産をどのように活用すれば良いか」「SDGsを学校現場でどのように指導すれば良いか」といった観点で、活発な意見交換が行われた。福井県から参加した小学校教員は、「修学旅行で奈良は何度も訪れているが、SDGs視点で見ると全く違う発見が数多くあった。これまで駆け足での見学が多かったので、学びの時間を確保し、生徒にもじっくり東大寺を見学してほしい」と話した。
奈良での学びを発信 体験発表会で学校間交流を促進する
翌日の1月27日(土)には、これまで奈良SDGs学び旅を体験した学校を対象に、奈良や地元に帰ってからの活動をオンラインで発表し意見交換を行う「第1回奈良SDGs学び旅・体験発表会 プレゼンスタジアム」が開催された。奈良県内の中学校1校・高校1校、広島県内の中学校1校の計3校が出場し、発表資料をPowerPointで作成、5~10名でチームを編成し発表を行った。
発表内容も実に多様で、環境保全の進め方や祈りの精神が現在のSDGsにつながっているというもの。自分たちのまちでは視覚障害者が安全に道路を渡ることができないという課題の発見とその解決策を自分たちの取材にもとづいて行政へ提言するというもの。昔ながらの町並みが残る地域には災害に対しどんな課題と解決策があるか、といった奈良での学びを地元での活動に活かしていることがわかった。
コメンテーターは、近畿地方ESD活動支援センターの小路楓氏をはじめとしたESDの知見を持つ有識者3名が担当し、発表に対し「良かった気づき」や「今後の学習」についてアドバイスを送った。
司会は、ESDを学ぶ奈良教育大学ユネスコクラブの学生だ。
同会は進むにつれて盛り上がりを増し、発表内容についての質問が他の参加校からも活発に行われ、学校間交流が促進された。参加した広島県の中学校の担当教員は、「参加した生徒から、発表会に向けて準備を進める中で自分の中で振り返りができて学びが深まった、という声があった。参加して良かった」と話した。同協議会は、旅アトの学習プログラムとして次年度も開催の準備を進めているという。
問い合わせ=奈良新しい学び旅推進協議会
電話074・20・7807
ホームページ https://nara-manabitabi.com/