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一刀両断 実践者の視点から【第453回】

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副業による懲戒処分と奨学金

 《風俗店で副業の保育士を懲戒処分 収入は「奨学金返済に」 宇都宮》(毎日新聞社)という見出しの記事は何を示しているのだろうか。
 兼業届を出していれば問題なかったのか。副業の内容が不適だったのか。
 問題は奨学金ではないだろうか。他国では学費は無料とするところがある。その分国に奉仕する。
 私も俸給を頂きながら学ばせて頂ける大学校にいた。恩義は体に染み付いているので、国や人々に奉仕するのは当たり前と心得ている。
 見知らぬ人への性サービスをしたいと思う者はあまりいないだろう。だが、そうせざるを得なかった。そのように追い詰めたのは国であり政治ではないだろうか。
 知人のことである。父親が暴力団員で、母親がストリッパーの子供として生まれ、13歳で出産、薬物にも手を出し刑にも処せられた。
 現在は性風俗店で働く人へ技術指導をする傍ら人気の占い師でもあり子ども食堂を経営している。
 こうした環境に生まれながらも親への感謝は人並み以上で親孝行の息子も自慢していた。
 稀な例かもしれないが、環境により多くの善人が地獄へと落ちて行ったとも涙ながらに話してくれた。
 冒頭の女性は再起できるだろうか。本業は保育士なのだ。哀れでならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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