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エプソン製プロジェクター型電子黒板 普及期を終えた電子黒板で実現する多彩な授業デザイン

14面記事

企画特集

手書きと投影を使い分けて授業は進む(戸田東小)

 GIGAスクール構想を経て、パソコンやタブレット端末とともに導入が進んだ電子黒板。それはいまやオプションとしての指導・学習ツールではなく、なくてはならない教具として日々その利用事例を増やしている。クラス全体の即時情報共有や双方向学習、教材活用の多様化など、古典的教育を変えたともいえる電子黒板の実態に迫った。

アナログとデジタルの融合で集中度アップ
戸田市立戸田東小学校・算数

 小中学校における先進的なICT教育に取り組んでいることで全国的に知名度の高い埼玉県戸田市。同市立戸田東小学校4年生の算数の授業を取材した。
 同校は2021年に開校した小中一貫校で、1人1台端末を生かした新しい教育が実践されている。学習のゴールやポイントなど、授業全体を通して見せておきたいものは板書したり、児童に大きく見せたいものや、児童・教師間の双方向でやりとりしたいものは電子黒板で提示したりと、アナログとデジタルを見事に調和させている。
 この授業は割り算の学習。山下佳菜教諭はまず、デジタル教科書を電子黒板に表示させ、前回の復習を行った。間違えやすいポイントを説明してから、本時の目標をホワイトボードに手書きするとともに、課題を電子黒板で提示するなど、ケースに応じてアナログとデジタルを使い分けている。
 復習が終わると、児童同士による解き方についての意見交換が始まった。児童それぞれ、自分とは異なる他者の考えに触れ、学習を深めていく。その後、児童がタブレット端末に書き込んだ解答を山下教諭が電子黒板に一斉に表示し、意見を比較していった。山下教諭は「授業への参加感をアップさせるため、電子黒板には教材そのものだけでなく、児童のタブレット画面も多く映すようにしています」と話す。
 その後はまとめを経て、練習問題に取り組んだ。デジタル教科書の該当ページを電子黒板に表示させた状態で、アナログとデジタルのハイブリッドで授業を進めた。山下教諭は「今の時代は板書もデジタル資料もホワイトボード一つで見せられるので、児童が前を向いて集中してくれるようになりました。印刷して配布していた教材もデジタルで提示できるようになり、授業の準備時間も短縮しました。電子黒板は便利なことだらけで、前の環境には戻れないと教師同士でも話しています」と、その効果を強調した。

https://pd.epson.jp/projector/lp_form/e-kokuban

電子ペンで快適な双方向授業
千曲市立埴生中学校・英語

電子ペンで書き込めば格段にスムーズに(埴生中)

 長野県の千曲市立埴生中学校1年生のあるクラスは、英語の授業の真っ最中。「There is ~/There are ~」の構文について、文の構造や違いを知り、使い方を学ぶ単元に取り組んでいた。発音練習や単語の学習、どの場面でも電子黒板が大活躍。電子ペンはマウスとしても使え、授業もテンポ良く進んでいく。
 教師が電子黒板に「There is」を用いた例文を表示させ、文法を説明した後に例文の音声を流す。生徒たちは「There is a bookstore near the station.」といった音声を聴き取りながら、例文が意味する通りに各自のタブレット上で「書店」「病院」などのカードを正しい位置に動かしていく。生徒たちが自らの回答を電子ペンを用いて発表した後、ワークシートの問題に取り組み、答え合わせでは、教師が生徒の回答部分だけを電子黒板に書き込むという流れで行われた。
 山口直子教諭は「生徒の集中力が切れないように電子ペンで書きこんでテンポ良く進めるようにしている。生徒たちがどこを見ているのか、すぐにわかるようになった。これまで使っていた可動式のテレビ型大型提示装置は準備が大変で煩雑だった。今はパソコン1台で済むので、とても助かっている」と話した。

2画面で生徒のアウトプットをサポート
千曲市立屋代中学校・国語

 千曲市立屋代中学校1年生のクラスでは国語の授業を取材。ヘルマン・ヘッセの小説『少年の日の思い出』を題材にした単元で、生徒たちは主人公の心情の変化を追っていた。
 冒頭、教師は1つの電子黒板に2つのウインドウを表示。左側には本時の学習内容を、右側には生徒の端末画面を一覧表示して、進捗に応じて個別にフィードバックを行っていった。良い部分には丸を付けたり、コメントを記入したり、「この部分ではなんでこう思ったの? グループで話し合ってみて」などとアドバイスしたりして授業は進行していく。時には教師用パソコンから生徒に個別でアドバイスし、また時にはグループの輪に加わり、「主人公が焦りを感じたのはなぜかな?」などと話し合いが深まるヒントを与えていく。
 教師は左右2つの画面を自在に操り、小説のさまざまな部分を切り抜いて映したり、生徒個人の端末画面を映し出したりして授業を進める。生徒たちは他の生徒の意見も参考にしながら、自分が読み取ったことをシートに記入していった。教師も生徒たちによる振り返りをリアルタイムでチェックした。
 授業を担当した早津秀教諭は、「電子黒板の役割は『教えるためのツール』『机の上を見るのではなく顔を上げさせるためのツール』から脱却して、生徒の『アウトプットを増やすツール』という考え方に変わっていくと考えています」と話した。

https://pd.epson.jp/projector/lp_form/e-kokuban_3

現場の声
戸田市教育委員会教育政策室 布瀬川裕貴 指導主事

 戸田市がICT環境整備に力を入れ始めたのは2016年です。1人1台端末で学ぶ時代が来ることを見据えて、端末とネットワーク環境を整備しました。
 児童生徒が主体的・協働的に学ぶ授業を実現するためには、一人一人の考えていることを見えるようにすることが重要です。児童生徒の考えを瞬時に電子黒板に表示し、必要に応じて大きく拡大したり、自由に書き込みをしたりと、教師が児童生徒の考えをベースに、共に学習を創りあげていく環境が必要だと思っていました。
 戸田市は、エプソンのプロジェクター型電子黒板を導入しました。数ある電子黒板の中からエプソンを選定した理由は、教師にとって使いやすかったからです。プロジェクター型電子黒板の方が今ある黒板を広く使って書き込みがしやすく、双方向性も活性化しやすいなど、デジタルとアナログ、両方のメリットが生かせると判断しました。
 授業の課題提示や資料の提示、発表から復習まで、全ての情報を一つの電子黒板で表示できるようになりました。何をどのように見せるかは、児童生徒の学習に対する興味・関心を高めていく上で重要です。

https://pd.epson.jp/projector/lp_form/e-kokuban_2

千曲市教育委員会 町田祐介 指導主事

 千曲市は以前、学校にはコンピューター教室しか整備されておらず、決してICT教育の進んだ自治体ではありませんでした。1人1台端末の整備が始まったのはコロナ禍の臨時休業の時でした。
 ただ、1人1台端末が整備されても、どのように活用すれば良いのか、多くの教師がイメージを持てないと感じていました。そこで2022年度に電子黒板が全小中学校に完備されたのをきっかけに、実践的な研修を実施しました。ICTが苦手な先生向けの「初級編」と、もうワンランク上を行きたい先生向けの「上級編」の2つのレベルに分けて実施しました。
 レベル別の研修を用意したことで先生方の出席率がほぼ100%になり、地域全体での導入・活用をサポートすることができました。

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