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論理的思考力・表現力を育てる 「根拠・理由・主張の3点セット」を活用した国語授業づくり

15面記事

書評

鶴田 清司・河野 順子 編著
10の実践例に解説、評価を添えて

 子どもたちが意見を述べ、その考えの理由を話す場面は日常的な授業風景だろう。理由が不明であれば「なぜそう思ったの」「どこからそう考えたの」と、教師が問い掛ける姿も見掛ける。しかし、本書を読めば、そこでとどまっている授業の大きな課題を知る。
 そもそも理由と根拠の使い分けも曖昧ではなかったか。根拠はデータなど客観的な事実を指し、なぜその根拠が主張を支えるといえるのか説明することが「理由づけ」の役割という。そう考えると、この「理由づけ」次第で主張の重みが変わってくるようだ。なぜその事実を選んだのか、そこからどう推論・解釈をしたのかまで考えを掘り下げ、既有知識や経験と関連付けて理由とする。それにより説得性が増す。授業でこの点をいかに引き出せるかが大事になりそう。「根拠・理由・主張の3点セット」を意識して授業構築することは「主体的・対話的で深い学び」の実現に結び付くという著者の考えに得心。
 本書では3点セットの理論に加え、10本の授業実践を紹介。特筆すべきはその実践を「この授業のポイント」として解説のみならず改善点にも言及し評価している点。大変参考になる。課題解決に向け自分の考えは?根拠は?その理由は?と考え合う授業は、論理的思考力・表現力が育ち、何より子どもたちにとって、本気で考える楽しさと学び方も得られることになるだろう。
(2376円 明治図書出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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