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一刀両断 実践者の視点から【第439回】

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論説・コラム

子ども食堂を生かすには

 《子ども食堂が増加、公立中学校数に迫る》という見出しの記事を読んで複雑な気持ちになった。担当者達は子ども食堂が早くなくなって欲しいと願っているからだ。
 社会の縮図は弱者に露呈する。それは子ども達であり、老人である。子ども食堂を作らざるを得ない状況にあるという事である。この現象を望ましいと考えてよいのだろうか。
 大学教員に子ども食堂へ行った事があるかを聞いてもまずない。現場には行っていないで子ども食堂を論じている。
 私もその運営に携わり10年になるが、本当に子ども食堂に来て欲しい子どもは来ていないという現実がある。明らかに親の意識や経済力などが強く影響していて、誰が子ども食堂へと繋げられるかも意識の課題がある。
 ある人から貧困家庭に2人の姉妹が居るという相談を受けた。早速会って食もままならない事から近くの子ども食堂へと繋げた。
 2人はそこで勉強もして高校へと進学もできた。出会った人が繋げられる意識とネットワークを持っていなければこうした事にはならない。それはたまたま知っていたでよいのだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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