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一刀両断 実践者の視点から【第438回】

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論説・コラム

被災地での犯罪

 このたびの地震の被災地で、偽自衛官が出没しているとの注意喚起がされた。災害に便乗した空き巣などの犯罪が起きているという。ここまで倫理観や道徳心が落ちてしまったかと感じさせられた。
 落とした財布が帰ってくるお国事情が世界から注目され自慢であったが、かなり変わって来ているように思える。
 人の弱みにつけ込んでとなるとオレオレ詐欺や強盗殺人などの犯人達の姿が重なる。もちろん厳しく罰せられねばならないが、未然に予防する教育は出来なかったのだろうか。
 三つ子の魂死ぬまでと言われるように教育の形骸化で、こうした犯罪者の発生に至っているようにも感じられる。
 どの教科で予防できるのかと問われたら道徳が一番に該当するだろう。
 その道徳について授業を覚えているかと大学生に聴いて10年になるが皆無に近いのが現実である。それで良しと容認して来たからである。
 現実に繋がらなくとも平気というか責任を感じない道徳教育関係者達の感覚のズレが恐ろしい。教え子から犯罪者を出さないという気概を持って教師は生徒に対峙すべきであり、ただ流すだけの授業をする事は犯罪を養成してしまうという危機感を持つべきではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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