一刀両断 実践者の視点から【第430回】
NEWS家庭科に複数教員を
《「死ねばいいのに」50代女性の非常勤講師が中学の授業中に発言「感情的になり申し訳ない」と謝罪》(テレビ愛知)という見出しの記事には違和感がある。
言葉は発せられると拡散しやすい。この発言がどのような状況で発せられたのかが分からないと、その言葉だけで謝罪となってしまう。
例えば心の中で収めていたり、友人にぼやいていたりならこうはならなかった。
ある高校の調理実習で料理に使用する為に購入したお酒が何者かに飲まれていたことがあった。犯人に目処はついていたが追及はされなかった。
包丁なども使用するのでふざけていては大きな事故を引き起こす事にもなりやすいのである。よってふざけていては成り立たない教科なのである。
ならばこそ複数の教員等が配置されて行うべき教科なのだが、それほど重要視されておらず担当教師がやんちゃな生徒を一人で指導しているのが現状なのである。
こうなる前にその困難さを管理職や同僚が把握して対応していたら、この発言はなされなかったと思える。
また、その言葉が悪いとだけしているが、生徒の素行については触れていない。教師をからかって立腹させて、言動を引き出しそこを指摘して謝罪をさせるような悪意のある生徒も存在しているのだから、こうした記事だけ出されると教師はますます臆病になりひいては志願者減に拍車をかける事になる。報道は何故そうなったのかを書かねば判断は出来ない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)