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京都市発!子どもの学びを広げる事務職員の挑戦 学校事務改革からはじまるカリキュラム・マネジメント

12面記事

書評

有澤 重誠・増田 真由美・水口 真弓 編著 小槇 博美・川井 勝博 著
現場のニーズに寄り添った実践例

 京都市では学校事務職員で構成する京都市立学校事務研究会が教育委員会と協働し、全国に先駆けた学校事務改革を進めてきた。本書はその実践事例や取り組みに至る背景、考え方などを紹介するものである。
 学校で主にリソース(特に物品や予算)を扱うのは事務職員だ。その能力や姿勢がどれほど重要かは言うまでもない。だが、実際にはどうか。十分に機能していない学校もあるだろう。
 京都市は学制発布よりも前から、住民が金を出し合い地域で「番組小学校」を創設したという教育の伝統がある。学校事務職員を教育委員会で独自に任用し、総務・財務の専門職として育成する体制ができている。だから進んだ取り組みが可能という面もあろうが、他の自治体が学ぶべき点は多い。
 例えば「学校予算キャリー制度」は、年度内予算の執行見込みを精査して残額があり、それを翌年度に繰り越して他の用途に充てたい場合に申請して、認められれば一定額(20万円=2022年度実績)を上限に可能になるというものだ。発想自体が現場のニーズに寄り添っている。
 学校を支える事務職員に特に大事にしてほしいこととして挙げている中には、「なぜそのように進めていくのか、物事の本質を的確に把握し理解したうえで事務を進める」といったこともある。市町村立学校だけでなく、行政や大学の職員にも十分通じる話である。
(1980円 学事出版)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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