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協働する探究のデザイン  社会をよくする学びをつくる

12面記事

書評

藤原 さと 著
具体例で授業づくりの要点提示

 本書は、「『探究』が流行り言葉のようになり、深く理解されないまま、あちらこちらで踊っているように見えた」という著者が、探究の歴史を振り返り、世界の探究を紹介し「探究をどうデザインしていくか」を提言する。著者は一般社団法人「こたえのない学校」を設立し、教育変革を目指す多様な大人が探究する学び場「Learning Creator’s Lab(LCL)」を主宰。実践を重ね「専門家でない」としながら、具体例をもって探究の授業づくりのポイントを提示する。
 学校で「探究」する良さは、友達の見方・考え方に触れ、深く広く探る「協働する探究」ができること。それをデザインする軸に(1)本質的な問い(2)中核となる概念(3)解決したい課題―の三つを示す。例えば「恐竜」をテーマにする際「絶滅」という「概念」を入れることで、「なぜ絶滅が起きた」「今後身近な動物はどうなる」と「恐竜」をきっかけに多面的な思考が生まれ、わくわくする探究につながる。
 著者は、子どもを「探究という名のついた別の列車に乗せるように教育」してはならない。答えが見えないからこそ、身体と心を動かし「すったもんだ」し自ら知識を構築する。こうして獲得した「生きた知識」は「新しい局面に遭遇したときにいつでも取り出せて自分の世界が広がる」原動力となるとする。本物の探究の単元を教師も協働で探究し、楽しみながら創りたくなる一冊。
 (2860円 平凡社)
 〔重森 栄理・広島県教育委員会 乳幼児教育・生涯学習担当部長(兼)参与〕

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