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一刀両断 実践者の視点から【第413回】

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「ハルマゲドン」を口にした児童

 《「エホバの証人」159人が性的虐待の被害申告 元2世信者らが調査》(毎日新聞)という見出しの記事で思い出した事がある。
 その子を担任してしばらくするとクラス内で様々なトラブルが起きはじめた。合唱はしない。組体操もやらない。その理由はハルマゲドンに食べられてしまうと言うのだ。保護者の面談をすると両親が信者であったことが分かった。
 父親は米国企業の日本代表であり、母親は元キャビンアテンダントで経済的にも何も不自由はない裕福な家庭であったが、エホバの教えに従順で子どもはその親の話をかなり信じて生活していたわけである。
 担任としてどうしたものかと思案したが、教師としての信念もあるので、おかしなものはおかしいと叱責したし話もした。修学旅行でも様々なトラブルがあり集団での行動を拒否していたが、そこは子どもで楽しい事はしたいので、ゲームなどには参加して可愛い笑顔を見せてくれた。
 この宗教の教えには反するかも知れないが、人権の視点からすると私には違和感しか残らなかった。また、この宗教の話をする時には顔が能面のようになり殻を閉ざす事が印象に残っている。今回のニュースがどこまで真実かは分からないが、担任した子ども達が一人ももれなく幸せになって欲しいと願うものである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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