自殺予防、SOS受け取る側の体制整備も 文科省協力者会議
NEWS 文科省は24日、本年度初めてとなる児童・生徒の自殺予防のための協力者会議を開いた。6月に公表した「こどもの自殺対策緊急強化プラン」や、各学校に実施を求めている自殺予防教育の考え方を同省の担当者が説明し、普及の課題などを議論した。
委員の宮田正博・東京都板橋区立上板橋第二中学校校長は「自殺予防教育には教員の高い指導力や学級経営力などが求められるが、採用倍率が低下している中、資質能力を持った人をどれだけ採用できているのか」と疑問符を付けた。
自殺予防教育が教育課程に明確に位置付けられていない点が課題として上がる中、赤間幸人・北海道教育大学特任教授は「子どもが周囲に『助けて』と言える安全・安心な風土づくりは、毎日の授業の中でできる」と述べ、「全ての教員に必要されるとのメッセージを打ち出すべきだ」と指摘した。
会議では同省から1人1台端末を活用した自殺予防の取り組みの紹介もあった。本年度補正予算案に、小中高校での健康観察アプリなどの活用を盛り込んだことを報告した。
新井肇・関西外国語大学教授(生徒指導論)は「発信方法ばかりでなく、アプリなどでの子どものSOSの発信を誰がどのように受け取るのかの仕組みを整える必要がある」などと指摘。先進的に導入している自治体の実態を求めた。