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悪戦苦闘が道を拓く

16面記事

書評

前田 勝洋 著
多くの事例から教職の魅力を実感

 教師志望の若い人が激減し、全国レベルで教師不足に陥っている。これに拍車をかけるように「教師の多忙化」ばかりが、マスコミによって伝えられている。教職はそんなに魅力がない職業なのか。
 著者は、38年の教師人生や退職後に学校現場で出会った教師たちの姿を、本書で紹介する。著者の教師観はカバーにある次の言葉に示されている。
 <「学校は楽しいところであらねばならぬが、歯を食いしばり涙をこらえてがんばるところでもある」を信条に、38年の教師生活を貫いた著者が、そこで出会った、文字通り歯を食いしばりながら涙をこらえてがんばり、道を拓いた多くの教師たちの教育への情熱を語ります>
 取り上げられている一人一人の教師の奮闘ぶりは、短くエピソード風に紹介されている。その数は尋常ではない。
 例えば「教室はまちがうところだ」「授業は発表会ではない」「回り道など1つもない」などエピソードの数々を読むと、現在、仕事に行き詰まっている教師への応援になっていることが分かる。歯を食いしばり、一歩でも前に進もうとすれば、教職の魅力が必ずや実感できると本書の事例で納得できるからである。
 本書を手元に置いて、頑張ろうと前向きに生きる教師が、一人でも多く生まれることを祈るように期待したい。
 (2090円 黎明書房)
 (庭野 三省・元公立小学校校長)

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