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俳句ミーツ短歌 読み方・楽しみ方を案内する18章

16面記事

書評

堀田 季何 著 長崎 訓子 イラスト
今日的テーマ含む幅広い内容

 俳句や短歌は、小・中学校の国語の教科書で教材として取り上げられている。子どもたちは、教科書に載っている俳句や短歌を声に出して読んだり、自分でも俳句や短歌を作ったりする。テレビでも俳句や短歌の番組があり、高校生になると、俳句や短歌の全国大会が開かれるようになる。子どもたちにとって、俳句や短歌は身近で親しみのある文化の一つだといえるだろう。
 その一方で、著者は、「五七五が短歌で、五七五七七が俳句だったかな」などと真逆に答える人に何度も出会った、と「まえがき」で述べている。五音と七音のリズムに合わせて俳句や短歌を読んだり、作ったりするだけの指導では不十分なのである。両者の成立以降の歴史を踏まえて、その差異について知ることが、俳句や短歌をより深く味わうことにつながっていくのだ。
 著者は、俳人であり、歌人でもある。本書では、多数の俳句や短歌を紹介しながら、万葉集以降の長い歴史を経て醸成されてきた日本独自の短詩である俳句と短歌の読み方と楽しみ方の秘訣を解き明かしていくのである。俳句も短歌も時代とともに変化していくことが求められる。題詠としてのジェンダーや戦争、外国語で詠まれた俳句、AIの吟じた俳句や短歌。本書は、こうした現代的な問題までをも視野に入れた幅広い内容になっている。
(笠間書院 2090円)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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