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クリティカル・シンキングができる子に育つ3つの視点と13のレッスン

16面記事

書評

ジュリー・ボガート 著
布施 亜希子 訳
示唆に富む教育哲学と実践法

 先行き不透明、予測不可能なVUCA時代。そのような時こそ、クリティカル・シンキングは必要な思考だ。クリティカル・シンキングは物事や情報を無批判に受け入れない、つまり目の前の情報を何でも鵜呑みにするのではなく、疑問を持ち分析し、解釈し判断することである。AI技術の革新により情報氾濫、情報過多とも映る今、未来を生きる子どもたちに、自分で考え判断する力を育むことはますます重要になっている。本書はそのようなクリティカル・シンキングができる子に育てる書である。
 米国でコーチングや授業を通じ親のサポートをする著者は革新的なプログラムの開発者でもある。訳の妙もありテンポよく読み進められ、快活な表現には爽快さすら覚える。心に留めておきたい言葉のなんと多いことか。「学校教育で失われる子どもの好奇心」など、どきっとさせられる言葉も。
 本書は「クリティカル・シンカーとは」「読んで、経験して、出会う」「修辞的想像力」の三つのテーマで13の章とレッスン編を掲載。レッスンも5歳から18歳までが年齢層別に構成されているので、家庭のみならず学校教育の場でも大いに生かせる。例えば「深く読む」の項では「『聴く』ように『読む』」とあるが、クリティカル・シンキングによって「深い読み手」が育つことが実感できる。
 示唆に富む本書から多くのことを考えさせられた。良書である。
(1980円 ディスカヴァー・トゥエンティワン)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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