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自由教育の名言に学ぶ 子どもは一瞬一瞬を生きている

17面記事

書評

堀 真一郎 著
子ども中心の教育を追い求め

 著者が学園長を務める学校法人きのくに子どもの村学園は、教科書ではなく「プロジェクト」という体験学習が中心の学園である。令和5年現在、和歌山、福井、福岡、山梨、長崎の各県で小・中学校を1校ずつ、和歌山では高等専修学校も運営している。
 自らの「理想の学校」を体現したいと夢見る人は少なからずいるが、それを実現し、さらに持続的なものにできている例はまれだ。
 同学園も、いわゆる一条校として開設する苦労は並大抵ではなかった。その気の遠くなるような準備の段階で、著者が数々のヒントと励ましを得たのが、本書に収められた先人たちの言葉と実践だった。
 例えば、「まず子どもを幸福にしよう。すべてはそのあとにつづく」(ニイル)や「子どもの本性は、子どもが大人になるまでは子どもであることを要求する。理性の教育を急ぐのは、物事の終わりから物事を始めようというのと同じだ」(ルソー)などだ。
 「自由教育」という言葉やその歴史的な意味への評価がどうであれ、こうした子ども中心の教育観、学校観は、当然のことながら、どの学校にも通じるものだ。時に教育の原点に立ち返る寄処にもなるだろう。
 「教育学は、子どもがそこにいるという現実から出発しなければならない」(鰺坂二夫)のだから。
(2090円 黎明書房)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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