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先生が足りない

14面記事

書評

氏岡 真弓 著
公教育が維持できなくなると警鐘

 著者は朝日新聞の教育担当として著名な記者である。自身で「この本は『先生が足りない』という問題をめぐる筆者の失敗日記である」としている。著者の失敗が今日の教員不足までの流れとリンクする。
 著者の反省は平成19年に教員不足を全日本教職員組合役員から知らされたが取材に動かなかったことから始まる。平成23年には非正規教員不足を報じたが反響がなく、平成30年、非正規教員不足への報道各社の調査を前に調査機会を逸したことを自戒している。本書では、教員不足の広がりに始まり、学校現場の様子も記している。特に「うちらのクラスは捨てられる」という子どもの声が象徴的だ。さらに教員の不足原因を分析し、そこからの脱却を模索している。
 現在の教員不足はさまざまな要因が重なっている。さかのぼれば規制緩和による正規教員採用抑制と、それによる非正規教員依存を招いた問題が大きい。当時、現場でも将来の中堅教員不足が心配されていた。
 その後、ご存じのように、学校の職場環境悪化と、それに伴う教員志望者の減少が起こった。まさに悪いときには悪いことが重なる典型である。
 著者の記すように、今必要なのはデータに基づく徹底的な教員政策の検証だ。政策担当者と学校をたたいてきたマスコミは、このままでは公教育が維持できないという著者の警告を真摯に受け止めるべきである。
(1980円 岩波書店)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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