キャリア教育がわかる 実践をデザインするための<基礎・基本>
18面記事児美川 孝一郎 著
ホットな課題含め体系的に解説
キャリア教育という言葉は学校現場にすっかり定着している。しかし、その意味が正確に理解されているかは疑問だ。本書は、キャリア教育とは何かについて、初めて学ぶ人にも分かりやすく、体系的にまとまった形で伝えようとするものである。通常のテキストではなく、読み物のようにしている。
第1章ではキャリア教育は、職業に就く準備ではなく、子どもたちが社会に出ていく準備をする教育とした上で、第2章ではキャリア教育へのさまざまな誤解、第3章ではキャリア教育が求められる背景、第4章ではキャリア教育の変遷を述べている。
その上で第5章では現在はキャリア教育の第3ステージと位置付けている。第6章から第8章で特別活動、教科、学校全体での取り組みを、さらに第9章以降は、キャリア教育の評価、担い手、今後の課題を述べている。
またトピックとして、キャリア教育に関わるさまざまな課題、職場体験の現状やキャリアパスポート、キャリア・カウンセリングなど12項目を記している。
以前、高校の元校長から「高校教員は教科指導をするために教師となった」と聞いた。中学校も同様の傾向があるだろう。キャリア教育に限らず、教科指導以外の「○○教育」は、教員の負担としか捉えられない傾向がある。教員の意識改革だけでなく、今こそスクラップ・アンド・ビルドが必要だ。
(2530円 誠信書房)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)