日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

一刀両断 実践者の視点から【第363回】

NEWS

論説・コラム

経済界の負の連鎖を止めるには

 《ビッグモーター保険不正 2006年に社長みずから会議で指示「客にはわからんじゃろ」》(AUTOCAR JAPAN)という見出しの記事からは相当な悪意が窺われる。赤字はやがて明らかになると言われるが、遅すぎた気がする。内部告発があったとしてもその後の対応の遅さに意図があったと私には感じられる。
 その遅さにはメスが入るのだろうか。街路樹への除草剤がまかれた事まで明らかなのに動きがあまりにおそい。保険会社も結託していた為にいかに逃げようかと必死に感じられる。
 財産は手持ちにある為にやり直しを出来るかもしれないと話す評論家もいるが、詐欺による損害賠償はこれだけ大規模になっても資産を失わずにやれてしまうというなら道義的とは思えない。
 悪くとも金があればなんとかなるという世の不合理を私たちは子供達に教える事になるのだろうか。
 今回のビックモーターも金と権力が狂わせる歪曲した後継者の所業に幼稚さは勿論だが、哀れさを感じてしまう。こうした例は至る所に起きてはいないか。そしてそれを止める為にはどのような教育が必要なのだろうか。
 その意味では政治、経済の上に教育を置き負の連鎖を止めるべきではないだろうか。人道の為の法にすべきで、法のために人道が曲げられてしまう今の現実は変えねばならないだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

論説・コラム

連載