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一刀両断 実践者の視点から【第361回】

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今のままでは減らせない登山事故

 《富士山に弾丸登山 外国人2人が遭難 1人は自力下山 もう1人の捜索は5日朝に再開》(テレ朝news)という見出しの記事の通り、富士山をめぐって不用意な行為が繰り返されている。
 登山をする者として6合目辺りで見かける外国人の軽装には呆れてしまう。個人責任を負いきるのであればまだいいが、救助要請となると二次災害の危険もありとんでもない迷惑になる。
 ここに、日本の教育で育んだ意識の有無が感じられる。どちらかと言うと外国に対して引け目を感じる日本は、日本の価値観を前面に出さない傾向が強いように感じられる。自国の文化や風習は何よりも優先されるべきであり、その歴史の中で安全を身に付けてきた。
 日本の山に登る以上、強制的にでも従わせなければ、命を落とす登山者を出す事になる。危機を回避させる為にも個人の責任を優先させている今の富士登山では事故は防げない。
 こうした曖昧さの隙間に、本来はなくてもよい労力を掛けてしまう事になる。早急に改善しなければならない課題ではないだろうか。
 登山で怪我をした方や亡くなった方を私も何度となく救助した経験から、その悲惨な光景が脳裏から消えた事はない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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