生徒指導提要 改訂の解説とポイント 積極的な生徒指導を目指して
14面記事中村 豊 編著
教員研修や学生のテキストに
本書は、昨年12月に改訂された「生徒指導提要」全13章について、改訂の解説とポイントを整理したものである。
「生徒指導提要の改訂に関する協力者会議委員会」の座長、副座長をはじめ、各分野の研究者が執筆している。研修会や教職科目のテキストとして、大いに活用できる。
旧版(2010年)と比べ、改訂版はPDFによるデジタルテキストである。本書と併せて読むことで、補完効果が高まり、より良く理解できると思う。
改訂版では、これまでの生徒指導の3層構造(「未然防止」「初期対応」「事後対応」)のうち「未然防止」を、「発達支持的生徒指導」と「課題未然防止教育」の二つに分け、4層構造とした。全ての児童・生徒を対象にした「育てる」生徒指導を重視したものと解説されている。今後、「発達支持的生徒指導」の充実によって生徒指導の軽減が期待できると述べている。読み深めていくと納得できる。
各章の最初に、旧版と比較して新たに示されたこと、重視する点等の説明欄があり、よく分かる。課題に沿った各種資料や調査分析、相談例、ワークシート等も参考になる。
編著者が執筆した序章の「積極的に生徒指導を行っている学校の実践事例」を読んで感銘を受けた。全教職員がチームで行う生徒指導が重要だと思った。
(2640円 ミネルヴァ書房)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)