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一刀両断 実践者の視点から【第353回】

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肩書だけのリーダー

 作家理事長と元次席検事の副学長のやり取りには不整合な事が際立って感じられた。覚醒剤らしき物が見つかったら直ぐに警察に提出するはずだったのにしなかった。隠蔽はなかったと保身丸見えの発言には呆れた。とくに学長と副学長の発言には驚いた。
 もちろんそのおかしさを正さない理事長は論外である。中でも対処の仕方が適切だったと発言した時の理事長の目の瞬きは本心ではないように思われた。この段階で保身と変わらない体質に飲み込まれていると痛感した。さらに器の小ささと判断力の低さが露呈したように思えた。
 その程を示しながらもメディアが好意的に扱っているのは違和感を覚えた。
 学長の判断の間違いについて、哀れみを乞うように発言した段階で、反省よりも隠蔽をした事を露呈したように感じられてしまった。
 元次席検事だった副学長の言動からは、この判断力で仕事をしてきたとなると権力を盾にかなり間違った事を正当化したのではないかと感じられた。自分の発言に酔っているようで、俺は専門家だぞ、お前達のような素人とは違うんだと言わんばかりの傲慢さに溢れていた。
 ドラマに出てくる権力だけを振り回す人間性の希薄な役づくりでもしているかの幼稚さを剥き出しにしていた。不審物すなわち「疑わしき物」が出たら、即提出すべきなのにそれを避けた段階で隠蔽の意思が疑われてしまう事は明らかである。検事時代なら糾弾するのだろうが、立場が変わるとこの様である。こうした不適な人物達を脇に据えてそれは適切と明言した理事長であるから大差はないことになる。
 公の場でそのお粗末な判断を押し通そうとするリーダー達の滑稽さには呆れるが、残念ながらこうした肩書きだけのリーダーが至る所に存在しているように私には感じられてしまう。人間力が育っていない事を強く指摘しておきたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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