「子ども主体」実現は約2割 幼・保・こども園を調査
2面記事ベネッセ
ほぼ100%の園が「保育が『子ども主体』であることが重要」と考える一方で「子ども主体」を実現している園は全体の約2割にとどまる―。ベネッセコーポレーションが全国の幼稚園・保育所・認定こども園を対象に実施した調査の結果、そのようなことが明らかになった。7月19日にオンラインで開催した保育サミットで報告した。
幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が全面実施されて5年が経過し、それぞれの園で「子ども主体」の取り組みが進んでいる。調査は、そうした現状を捉えるために今年1月から2月、全国の幼稚園・保育所・認定こども園を対象にウェブ調査で実施し、1062園から回答を得た。
また、園における保育の実態をより全体的に捉えることができるよう、調査設計から分析まで玉川大学の大豆生田啓友教授、岩田恵子教授から意見をもらって実施した。
全38問の回答データについては、因子分析を実施。これにより、保育に対する意識や実践状況を聞いた複数の回答に潜む、
(1) 保育者の様子
(2) 子どもの様子
(3) 教育方針
(4) 記録活用
(5) 計画
―の「五つの共通因子」を抽出した。
その類似性を基に園をマッピングした結果、「A『子ども主体』を尊重(子どもへの関わりが応答的。一人一人の子どもの姿から柔軟に計画を見直し)」「B集団としての自主性を尊重(子どもの声を聴きながらも事前に決めた活動への取り組みを重視)」「C『子ども主体』へ試行錯誤中(子どもの姿を捉えた柔軟な保育を試行。子どもへの統制的な関わり、一斉活動も多い)」「D集団としての指導を重視(子どもへの指導を重視。あらかじめ決められた一斉型の活動が多い)」の4グループに分けた。
各グループに分類された園の割合は「A『子ども主体』を尊重」が全体の22・2%、「B集団としての自主性を尊重」が同26・6%、「C『子ども主体』へ試行錯誤中」が同30・6%、「D集団としての指導を重視」が同20・6%となった。
この他、調査結果からは「『子ども主体』の実現には記録・計画・対話が重要」「記録については『ドキュメンテーション』の活用が増えている」「『子ども主体』へ試行錯誤中の園と集団としての指導を重視の園は、採用や離職の課題を抱えやすい」「集団としての自主性を尊重している園は、発達課題のある子どもの対応に課題感」などが分かった。