一刀両断 実践者の視点から【第342回】
NEWSセクハラ教諭と「話せない風土」
《相次ぐセクハラ教諭「非常に深刻な事態」教育長が服務規律の徹底を訴える 宮城》(東北放送)という見出しのニュースには悲壮感が伝わって来た。その効果が直ぐに出れば嬉しいが、未遂も含めて簡単ではないだろうが予防の効果を期待したい。
そもそも異性に対する欲望の制御は何処で学ぶのだろうか。家庭でも学校でも教えないから、耳学問の範囲で過度な表現やメディアから取り放題となっている。間違った思い込みや一方的な恋愛感情などが暴走して制御不能になりドツボにハマってしまうのである。
社会勉強と称して夜の繁華街へ先輩に連れて行ってもらった事がよくあった。嫌々ながらに付き合ってはいたが、あれで見えた人間模様もあった。一線を引いた中での遊びが、制御の度合いを教えてくれたのかも知れない。
人間関係が個人情報やプライバシーの尊重が過度になり分断されて本音が聞けない。話せない風土に激変しているようにも思われる。人を育てるのにはどうしても相手の心理や興味や価値観にまで入り込まないとやれないこともある。そこを遮断されるのだから檻の外から眺めるしかないので、檻の中のことは分からない。それはこちらが檻に入っているように見えるのかも知れない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)