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一刀両断 実践者の視点から【第341回】

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加害青年への損害賠償請求

 回転すしチェーン店での迷惑動画撮影をめぐって大損害を受けた企業が、加害者の青年に賠償を求めているという。教師からすると社会的制裁を課してルールを教える有益性は感じられるが、どうも釈然としない。
 以前、万引きをした児童を引き取りに行った時、店長がポツリと言った。
 「昔は蓋が付いていて取れるものではなかった。今はどうぞ取ってくださいと差し出している陳列だからね」
 悪ふざけが度を過ぎてはならないが、そうさせているのは本人だけの問題だろうか。例えば教室に現金を置かないようにと教師は指導を受ける。何故なら犯罪を招いてしまうからである。
 この青年に課せられた賠償金は加算されて億を超えるらしいが、それでも失った損失は補えないだろう。だからといって賠償金を増やしてこの企業への評価は高まるのだろうか。
 高まると思って加算し、怒りを表しているのも道理かもしれないが、人道的にこの青年を救い、大成させられたら見事なネタになり倫理経営として利益にまで反映されるのではないだろうか。
 この青年がこの会社の幹部社員の関係者だったら同様の判断を下しただろうか。常に被害者にも加害者にも家族や関係者が存在する。この青年が我が子だったらどう関わるだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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