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第2の進路指導 自由と権利の指導の時代

18面記事

書評

塩崎 義明 著
松田 洋介 解説
未来を切り開く「生き方教育」

 学校卒業後に就職した若者のうち、中卒7割、高卒5割、大卒3割が3年の間に離職する傾向がずっと続いている。これは七五三現象といわれるが、若者の個人的な要因だけに起因すると考えるのは誤りである。1990年代以降の「失われた20年」と呼ばれる長い経済不況の下で、終身雇用制度は崩れていった。非正規雇用が増加し、就労条件は悪化し続け、解雇や派遣切りなどで職場を追われた者も少なくない。このような社会の大きな転換期において、卒業後も若者たちが人生の主人公として生きていくために、学校教育が果たすべき役割は大きいと考えられる。
 本書は、小学校や大学での豊かな教育経験を持つ著者が、自分自身や周囲の教師経験者の生き方を参照しながら、この課題に真正面から取り組んだものである。
 学校教育で大切にしなければならないのは、子どもが自分たちのことを自分たちの意見に基づいて決めていくことだ。教師は、子どもたちの自由と権利を尊重しなければならない。そして、何よりも重要なのは、教師自身が周囲の人々と自由に意見を交わし、互いを尊重しながら学校教育に携わっていくことだ。
 今求められているのは、従来型の学校選択指導ではなく、未来を切り開く生き方を指導する「第2の進路指導」なのである。
(2200円 高文研)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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