上野の森美術館

　上野の森美術館は、特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像／創造」を5月31日（水）から開催している。
　恐竜展といえば化石の展示が主役だが、本展は恐竜など古代生物を描いた「パレオアート」の世界に着目した異色の展覧会。19世紀の奇妙な復元図から、20世紀に活躍した恐竜画の二大巨匠チャールズ・R・ナイトやズデニェク・ブリアンらによる記念碑的作品、漫画・玩具などのサブカルチャーからファインアート、さらには、現代恐竜画の旗手たちによる近年の研究に基づくパレオアートまで世界各国から約150もの貴重な作品が集結する。
　チャールズ・R・ナイトは、19世紀末から20世紀前半にアメリカで活躍。野生動物画家だったナイトは、生物学的知見に基づき、恐竜を生き生きとした姿で描き現代に蘇らせた。彼の作品は、映画「キング・コング」（1933年）などの作品にも影響を与えた。
　ズデニェク・ブリアンは20世紀中盤から後半にかけてチェコで活動。当時、化石発掘の中心地であったアメリカから遠く離れた東欧圏でヨーロッパ美術のリアリズムの伝統を踏まえた彼の作品は、強い説得力を持つものとして国際的に高く評価された。
　本展では、インディアナポリス子供博物館や福井県立恐竜博物館のコレクションから現代の恐竜画の旗手たちのバラエティ豊かな作品群が集結。国内からは、現代日本を代表するパレオアーティスト、小田隆の迫力ある作品も特集する。CGを用いずに圧倒的な迫真性を生み出す肉筆画は必見だ。

【展覧会概要】

名称
　特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像／創造」

会期
　5月31日（水）～7月22日（土）
　会期中無休

会場
　上野の森美術館（東京都台東区上野公園1―2）

開館時間
　午前10時～午後5時
　土日祝は午前9時30分～午後5時
　※入場は閉館の30分前まで
　※会期等は変更になる場合あり。詳細は公式サイトを確認。

　公式サイト＝https://kyoryu-zukan.jp/

ロバート・ファレン＜ジュラ紀の海の生き物―ドゥリア・アンティクィオル（太古のドーセット）＞
1850年頃　油彩・カンヴァス　190×268cm
ケンブリッジ大学セジウィック地球科学博物館　(c)　2023.　Sedgwick　Museum　of　Earth　Sciences,　University　of　Cambridge.　Reproduced　with　permission