中学校・高等学校 授業が変わる 学習評価深化論
20面記事石井 英真 著
使える学力育む「学びの舞台」とは
本書は、主に高校での観点別評価の教育現場での活用や、教員の負担増加への対処などを述べたものだ。その中で中学校の年間指導計画にも触れ、高校と並行して解説している。中教審で評価方法に関わる検討に携わった著者は、三つの観点別評価の中で「思考・判断・表現」を中心に据える。実社会では「知識・技能」の習得による「分かる・知っている」レベルではなく、「使える」レベルの学力が必要だからだ。その評価には、学習者の思考から生まれた振る舞いや作品(パフォーマンス)の評価が有効だという研究があることも示す。
著者は観点別評価を生かすため、授業で身に付けた思考力や主体性を、課題研究や発表会などで可視化する機会として「学びの舞台」づくりを期待する。そこでは、生徒たちは学びを成長につなげることができると考える。
第1章で観点別評価に関する疑問に答え、第2章では評価方法の解説を行う。第3章では観点別評価を学習者の成長に生かす方法を解説する。最終章で、パフォーマンス課題を評価するためのルーブリック評価の組み立て方などを解説しながら、学びの舞台づくりの方法を明らかにしていく。
多忙な教員には観点別評価は、その仕組みや意義が理解できないと導入に大きな負担感が伴うが、本書の内容からその解消が期待できる。詳細な解説で、従来通りの学習や評価方法では不十分ということも納得できる。
(1980円 図書文化社)
(前)