成年年齢引き下げに不安や疑問も~本紙による「高校生への18歳成人に関する意識調査」の結果から~
12面記事日本教育新聞社では、これから成人になる高校3年生と2年生を対象に「18歳成人に関する意識調査」を5月中旬から月末にかけて実施した。成年年齢が引き下がったことについて、今の高校生がどのように捉えているのか―。その結果からは前向きな意見が大半を占める一方で、大人として扱われることや社会的な責任を負うことへの不安や疑問も感じていることが分かった。なお、本調査はGoogleフォームを使用したウェブでの匿名アンケートで実施した。
選挙は後ろ向き、キャッシュレス決済への関心が高い
アンケートでは高校3年生が1155人、高校2年生が766人の合計1921人の回答があった。その中で「18歳が成人になると知っていた」は98%に達し、成年年齢の引き下げについては自覚しているようだ。ただし、「統一地方選を耳にしたことはあるか」は「知らない」が43%もあり、18歳選挙権については認識不足や関心の低さが露呈した結果となった。また、実際に選挙に行ったと答えた高校生は65人だった。
「統一地方選」への興味を調査した結果43%が「知らない」と回答した
次に、高校生の実状を測る「情報収集するときは何を見ているか(複数回答可)」では、テレビが71%、ツイッターとユーチューブが60%、ニュースサイト46%と続く中、新聞は20%にも満たず、雑誌も5%と、情報源としての紙離れがより一層進んでいることが分かった。
また、キャッシュレス化が進む中で「利用したことがあるもの(複数回答可)」の質問では、「交通系ICカードで買い物」を除けば、PayPayなどの「キャッシュレス決済」が55%、「iTunesカード・GooglePlayカード」38%、「メルカリ」33%と多かった。こうした傾向は「大人になるにあたって興味があるもの(複数回答可)」の結果にも反映されており、「クレジットカード」が68%と最も多く、「課金(ゲーム・スーパーチャット)」16%や「フリマアプリ」8%にも興味を示している。なお、次点は「アルバイト」51%、「結婚・婚活」35%であった。
一方、着眼点を変えた質問「『大人』について話してみたい有名人(自由記述)」では、慶應大学生でもある芦田愛菜(俳優)が26票と最多。テレビでの発信力のあるマツコ・デラックス(タレント)が20票、松本人志(芸人)19票、明石家さんま(芸人)17票、池上彰(ジャーナリスト)15票と続いた。アスリートでは大谷翔平が18票という結果となった。
目の前の不安に対して大人はどう答えていくか
本調査の核心部分となる「大人になるにあたって、考えていること、やってみたいこと」では、お金を稼ぐ、投資や結婚、海外旅行といった意見が多数を占める中で、「好きなことを仕事にしたい」「選挙で投票したい」「働くことでお金の価値や時間の大切さを知っていきたい」といった前向きな意見もあった。
しかし、その一方では「18歳成人は早すぎると思う」「トラブルに巻き込まれる人が増える」「自分は何がやりたくていま生きているのか、何を目指せばいいのか」「今の高校生が登っている大人の階段は目の前が全くわかりません。きっと何が大人で何が大人ではないのかわからない人も多い」「私たちは20歳が成人になると教えられて小学校時代を過ごしたので、18歳が成人になることが決まってしまった今、あと少しで大人になるという自覚がなかなか持つことができない」といった不安や疑問をぶつける声もあった。
18歳になったからといって、誰もが社会人としての責任を負う自覚が身に付くわけではない。こうした声に耳を傾け、一人の人間として成長をリードしていくことは、家族や学校など周囲の大人の責任であり、大人による新成人を迎え入れる準備やサポートが必要だ。本調査の詳細な結果は、電子版「18歳成人特設サイト」で掲載。
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